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シャーナイフの匠

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シャーリング(せん断)に使用される刃物、シャーナイフ。
機械や切断するものによって、一品もので製造することが多いため、
「最適なシャーナイフ」とは何か、わかりにくいのが現状です。

そこで、シャーナイフのことを、もっと良くわかるように
シャーナイフの匠が解説します。

シャーナイフの匠

シャーリング(せん断)とは?

シャーリング(せん断)でものを切る、身近な例は「はさみ」です。
ずらして設置した刃ではさみ、力を加えて破断する、
つまり「せん断力」を利用して切断する仕組みです。

クレジットカードを切る図

実際には鉄鋼業界をはじめとして、対象物にせん断力を加えて切り離すための刃として
さまざまな形状や大きさで存在し、用途に応じて様々な材質で作られています。

社会のあちこちで活躍する
シャーリング(せん断)

鉄鋼業界

鉄鋼業界

鉄や鋼を切断

繊維業界

繊維業界

布や繊維を切断

農業

繊維業界

収穫機や草刈り機

自動車業界

繊維業界

布や繊維を切断

製紙業界

繊維業界

紙や段ボールカット

食品加工業界

繊維業界

食肉・野菜・その他の
食品などを切断

リサイクル業界

繊維業界

鉄スクラップ切断用

建設業界

繊維業界

建築材カット用

シャーナイフの匠

シャーナイフの匠コラム

切断する刃がすべてシャーナイフ(せん断刃)というわけではないのだ!
木を斧で切る際は、せん断力ではなく衝撃力がかかったり、木をチェーンソーで切る際は、摩擦力がかかったり、発生する力の種類で呼び方が異なるのだ!

シャーナイフ(せん断刃)の種類

丸刃

紙やフィルムなど比較的柔らかいものから、硬い鉄鋼製品に至るまで切断する際に用いられます。
上・下刃で挟み込む様に回転させることで、長手方向の連続的な切断に適しています。

ロータリーナイフの説明図 ロータリーナイフの説明図

丸刃の種類

ロータリーナイフ

ロータリーナイフ

サイドトリマーナイフ

サイドトリマーナイフ

スリッターナイフ

スリッターナイフ

平刃

丸刃同様の被切断材ながら、主に上・下刃のどちらか片方が上下動することで、
より強い力での分厚い切断が可能となります。短手方向の一時的な切断に適しています。

シャーナイフの説明図 シャーナイフの説明図

平刃の種類

フライングシャー

フライングシャー

サイドクリッピングシャー

サイドクリッピング
シャー

チョッパーナイフ

チョッパーナイフ

クロップシャーナイフ

クロップシャーナイフ

ウェルダーシャーブレード

ウェルダーシャー
ブレード

丸棒コールドシャーナイフ

丸棒コールドシャー
ナイフ

不等辺山形コールドシャーナイフ

不等辺山形コールド
シャーナイフ

シャーナイフの匠

シャーナイフの匠

最適な
シャーナイフとは!

シャーリング(せん断)では、切断するのに「せん断力」を使用していますが、
「刃」自体が強くないと、切断する対象物の強度に負けてしまったり、耐久性が落ちてしまったりします。
そこで、切断対象物に負けないように製造工程の中で、刃自体を強くする必要があります。

シャーナイフ(せん断刃)製造の流れ

製造の流れ 製造の流れ

強靭なシャーナイフをつくるための3ポイント

被切断材に適した強靭なシャーナイフを作るためには、丸刃や平刃といった形状以前に、
性質を大きく左右する「素材」「熱処理」「加工」の
3つの重要なポイントに注目する必要があります!

強い刃物をつくるための3ポイント

素材

成分に注目!

素材である特殊鋼(以下、鋼/はがね)は、鉄に他の成分(元素)を配合して作られています。
代表的なものに、炭素(C)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)などがあります。
含まれる成分(元素)によって、硬さ、粘り、焼入性(熱処理)等の特性が現れます。

鋼を鍛える!

素材力を更に高める工程が「(熱間)鍛造」です。約1,000~1,200℃程度の高温で真っ赤に熱して叩くことで、粘りが増した、より強靭な鋼となります。
刀鍛冶が熱した刀をハンマーでたたいているのを見たことがあるのではないでしょうか?
あれはまさに、形状を整える以外に、鋼自体を鍛錬して良い刀をつくるための欠かせない工程です。
昔の人はどの様にしてこれらを学んだのでしょうか?
鋼の世界では、古代の手法や伝統の技が脈々と受け継がれているのも面白いです。

鍛造

シャーナイフの匠

シャーナイフの匠コラム

〜強い刃はもはやお餅〜

鍛造する前と後の鉄を例えるならば、おにぎりとお餅のようなものなのだ。
鍛造する前の鉄は、おにぎりのように粒の集合体のようなものなのだよ。
それを杵でつくと、粒が小さくなり粘りが出てくる、これがまさに鍛造後の鉄鋼の姿なのじゃ!

鍛造前と鍛造後 鍛造前と鍛造後

熱処理

本性を引き出す!

鋼本来の性質を引き出すのが「熱処理」工程。
専用の熱処理炉にて約1,000℃前後に熱してから油槽等で冷却する「焼き入れ」と、約200~600℃程度で硬度(硬さ)を規格に調整しつつ、同時に熱膨張や伸縮による歪(ひずみ)を矯正する「焼き戻し」とで構成されます。
先述した成分が化学変化を起こし、「焼き入れ」で硬度(硬さ)がピークに達し、「焼き戻し」でマイルドになるイメージです。
同じ素材でも、形状の違いや大小、加熱温度や時間設定、置き方によっても結果が異なるため、「熱処理」はノウハウの宝庫と言えるでしょう。

熱処理

シャーナイフの匠

シャーナイフの匠コラム

熱処理、焼き入れを例えば「肉」で想像してみるぞ。
肉は焼くと縮んだり反ったりするのと同じように、鋼も熱を加えると変形してしまうのだ。
しかも肉を焼きすぎると固くなって中がパサパサになったり、焼き具合も大事じゃろ?
うまく焼入するのも匠の技なのだ。

成功と失敗 成功と失敗

加工

ミクロンの世界で歪を制する!

完成品に近い形状と特性とになった刃物は、特殊な研削機械(砥石で削る)を用いた「研削」工程で寸法規格に仕上げられます。
鋼等、一般的に金属に対してはあまりイメージが湧かないかも知れませんが、「熱処理」工程で記載した通り、「生きもの」に似た非常に繊細な一面が現れます。
それが厄介な「歪(ひずみ)」の存在です。削られ方や加工熱によって、ミクロンの世界で反ったりうねったりを繰り返す為、例え同じ形状の製品であっても唯一無二の多彩な加工アプローチが要求され、ここでも匠の技の本領発揮です。
素材や熱処理時と同じ存在とは思えない鏡面の如く磨き上げられた見た目を裏付ける、確固たる技術の錬磨(れんま)、研鑽(けんさん)の蓄積が誇りです。

研削

切断時の相性
「切るもの(刃物)」と「切られるもの」

「切るもの(刃物)」と「切られるもの」の力関係図 「切るもの(刃物)」と「切られるもの」の力関係図

シャーナイフの匠

刃物が絶妙なバランスで作られているとわかったかな?
シャーナイフを選ぶときは、以下のPOINTに注目することで、
より最適なシャーナイフに近づけることができるぞい!

シャーナイフ(せん断刃)の
性能に影響するPOINT

切断材料

切断したい材料の種類(金属、プラスチック、紙など)と硬度によって、
適した刃の材質を選びます。

刃の寿命

耐摩耗性と靭性のバランスが良好な材質を選びます。

切断面の品質

高品質な切断面を必要とする場合は、精密な刃物選定並びに上・下刃の
クリアランス(GAP)を適切に設定します。

切断速度

高速で切断する必要がある場合は、熱に強い材質の刃を選ぶ必要があります。

刃替頻度

頻繁に切断作業を行う場合は、より高い耐久性を持つ刃を選ぶ方が経済的です。

予算

刃のコストも重要な要因で、一般に高品質の材質ほど高価になります。

メンテナンスと交換

容易に研ぎ直しが可能で交換が容易な刃を選ぶことで、運用コストを削減できます。

シャーナイフの匠

シャーナイフの匠コラム

既述表現では、鍛錬する、焼きを入れる(根性焼き)、研鑽を積む、これら以外にも、身体が鈍(なま)る(熱処理用語「焼鈍(しょうどん)」etc.
日常表現として、金属加工に関連する用語が現存しているのはお気付きだろうか?
刃物こそ、「切っても切れない」貴重な存在になり得るのじや!

シャーナイフ(せん断刃)のことなら

ニッパテックへ!

匠くん